幕末陰陽師
そんな事を言われたのは初めてだ。
この隊長はかなり物好きなのだろう。

「自分……俺は…──」






躊躇う理由は無かった。
俺はありのまま、この新選組に入隊した経緯を話した。










「…そうか。お前の大義─その意志を大切にしろ。…しっかし、お前が少し知れて良かったよ。冷徹な外っ面に比べて案外熱い奴なんだな、お前。」






「いえ…そんなことは……」





「まっ、頑張れや。俺はお前のその真っ直ぐな大義、嫌いじゃねえしな。」






縁側から覗く月が、とても綺麗な夜だった。
隊長はそう言って俺の肩を叩き、からからと笑った。





俺もつられて頬が緩んだ。





それが鳥羽伏見の戦の前夜の事だった。
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