幕末陰陽師



私は再び見張りに出た。






赤かった空は次第に濁り始め、辺りに深い闇が迫り来るように覆いかぶさった。





──北に気配が二つ、西に三つ。






異形どもは日が落ちると動き出す。






どこから嗅ぎ付けたのかは知らないが、主様が不調であるのを狙い襲って来る“獲物”どもの数が、今夜は一段と増していた。






…私は苛ついていた。

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