幕末陰陽師

「にい…さま…っ」






溢れだす感情が交錯するなか、やっと出した言葉だった。






刀を握りしめた男の手にそっと手を重ねると、微かな熱すら奪われはじめていた。







み…さ……と…






己の名を呼んだ兄の擦れた声が、静寂の中脳裏に反響していた。



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