幕末陰陽師
主様の術は私にも効いてしまう。
私は飛び退いて刀を腰に納めた。金の飾りのついた、主様から賜った大切な刀だ。





札が異形に貼りつくと、異形はいっそう苦しい声を発した。
私が狂ったり主様を傷つけたりした時は、きっとあの異形のように苦しみに苛まれて死ぬのだろう。




異形は死んだ。




だが、私は何も感じなかった。




私は主様に生かされ、そして主様の手によって死ぬのだ。

…それでかまわない。
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