幕末陰陽師
「キツネ、帰るわよ。」




主様は言った。
背を向けたその肩に、長い髪がかかって揺れた。




私は異形の亡骸を何ともなしに眺めた。
それは暫くすると灰になり、風に消えた。



無様な姿だと思った。




「…キツネ?」




「…申し訳ありません、今行きます。」




私は慌てて主様の後についた。




今夜は何故かよく無駄なことを考える。
今日は新月だからだろうか。
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