【短編】双子の憂鬱
俺たちが違う、一人の人間だって言ってくれたヤツ、今までにいたか?
いなかったよな。
“どっちでもいい”
そう言われる度に仕方ないと思っていても、やっぱり寂しかった。
俺を見てほしい。
笹本彗という人間を、見てほしいと。
ずっと願ってた。
蓮、お前もだろ?
だからお互い告白される時は、相手に行ってもらって、こっぴどく振ってやった。
それが俺たちのささやかな復讐。
俺たちを一人の人間として見ないヤツらに対しての。
今思えば子供じみてるけど。
でも、そうでもしないと怖かったんだ。
俺たちの存在ごと、崩れてしまいそうで。
けど、この子は今までのヤツらとは違う。
『どちらも同じなんかじゃありません』
たった一言だけど、俺を認めてくれたんだよ。
……ゴメン、蓮。
俺、この子のこと…