【短編】双子の憂鬱
「おいッ…!」
危ないだろ!
そう続けようとした言葉は、また女の子によって遮られる。
「好きです…!」
ピタリと動きを止める。
「あの時からずっとずっと…!彗さんが好きなんです!」
振り絞るように女の子が叫ぶ。
ギュッと腰に回された腕を払いのけることもなく、俺はただ小さく震えている女の子を見下ろしていた。
――――あ、ありがとうございましたっ!
ペコペコと何度も俺に頭を下げて、嬉しそうに笑った。
あぁ、そうか。
そうだったんだ。
「――――ねぇ…」
俺、助けたかったんだ。
笑ってほしかったんだ。
気まぐれ?
いや、そうじゃない。
きっと、俺…