【短編】双子の憂鬱
「俺、彗(スイ)の方」
告白する相手が、違うんだから。
「なっ…!」
「アレ?気づいてなかった?」
ま、当たり前だけどな。
ウリふたつの俺たちのこと見分けられんのって、母さんと父さんくらいだし。
いや、父さんはかろうじてって感じ…か。
「アンタさぁ、さっきカッコイイって言ったよね?」
別に責める気はない。
けどさ。
「それって俺のこと?蓮のこと?」
「それはッ…!」
「あぁ、別に答えてくれなくていいよ」
ちょっとムカつくんだよね。
「俺たちの外見にしか興味がないヤツを、蓮がオッケーする訳ないし。残念だったね」
「……ッ…」
「じゃね」
くしゃりと顔を歪め、傷ついたような女に背を向けた。