【短編】双子の憂鬱
「――――ハァ…やっとか」
固く抱きしめ合っている二人を見て、笹本蓮は小さくため息をついた。
「感謝しろよ、彗…」
世話の焼ける弟だ。
自分の気持ちに気付かずに、一人の女の子を無意識に見つめてたなんて、な。
まぁそこが彗の可愛いところでもあるけど。
「あ、あの…!」
ふいに声を掛けられ、俺は後ろを振り返った。
女が三人。
オドオドとした様子で俺を見ていた。
「…なに」
短く問うと、女たちはびくりと肩を揺らした。
フン。
まぁ何が聞きたいのかは分かりきってるけどな。
「えっ…と。あれって…」
「あぁ…アレね」
薄い笑みを浮かべ、笑っている二人に目を向けた。