【短編】双子の憂鬱




「――――ハァ…やっとか」




固く抱きしめ合っている二人を見て、笹本蓮は小さくため息をついた。




「感謝しろよ、彗…」




世話の焼ける弟だ。


自分の気持ちに気付かずに、一人の女の子を無意識に見つめてたなんて、な。


まぁそこが彗の可愛いところでもあるけど。




「あ、あの…!」




ふいに声を掛けられ、俺は後ろを振り返った。


女が三人。


オドオドとした様子で俺を見ていた。




「…なに」




短く問うと、女たちはびくりと肩を揺らした。


フン。


まぁ何が聞きたいのかは分かりきってるけどな。




「えっ…と。あれって…」


「あぁ…アレね」




薄い笑みを浮かべ、笑っている二人に目を向けた。
< 20 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop