【短編】双子の憂鬱
「昨日、どーだった?」
わざとらしく問い掛けてきた相手に、俺はフンと鼻を鳴らす。
「いつもと同じだよ。俺のこと、お前だと思って告白してきた」
「だろーな」
クッと喉の奥を鳴らしながら笑うのは、昨日、本当なら告白されるはずだった俺の兄、蓮。
蓮は俺と全く同じように唇を薄くめくり上げて、冷たい笑みを浮かべた。
「ほんと、どいつもこいつも」
「馬鹿ばっかだ」
蓮の言葉を引き継ぎ、吐き捨てるように言った。
好きだの惚れただの。
女はそう言って俺たちに言い寄る。
だけど結局、こいつらは外見だけしか見ていないわけで。
俺と蓮のどちらが好きかなんて、答えられない。
だって、全く同じ顔だから。