【短編】双子の憂鬱
外見にしか興味がないヤツらにとっては、俺が彗だろうが蓮だろうが関係ない。
“どっちも好き”
なんてふざけたことを平気で抜かしやがる。
ありえないだろ。
意味わかんねぇよ、何でどっちもなんて言える?
俺は蓮じゃない、彗だ。
彗なんだよ。
…なのに。
「あぁ、そういえばさ、俺また呼び出されてるんだ」
何となしに言った蓮の言葉に苦笑する。
またかよ。
「モテる男は大変だな」
「お前が言うなよ、彗」
軽く肩を小突かれる。
「ま、任せとけよ。場所は?」
「放課後に中庭に来てほしいだと」
「へぇ…中庭か」
意外だな。
中庭っつたら、校舎に囲まれてて中にいるヤツからまる見えだってのに。