【短編】双子の憂鬱




「ッくく…!」


「あ、あの」




あー、いつぶりだろ。


こんなに笑ったの。


目に浮かんだ涙を拭い、「ゴメンゴメン」と相手に向き直った俺は目を見開いた。




「えっ……」




な、泣いてる…!


相手の女の子は、小さく肩を震わせて涙をいっぱいに溜めた瞳で、俺を見つめていた。




「いやっ、あの、!」




今度は俺がオロオロする番だった。


今にもこぼれ落ちそうになっている涙を見て、慌てる。


俺が泣かせた…よな?




「悪かった。ゴメン」




素直に自分の非を認め、静かに謝ると、相手の女の子が小さく頷いた。


その拍子に溜まっていた涙が落ち、女の子が小さな声で叫んだ。
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