【短編】双子の憂鬱
「すみません!な、泣くつもりじゃ…!」
アレ?アレ?とつぶやきながら涙を拭う女の子を見て、勝手に体が動いた。
ポンと頭に手を乗せる。
「いーよ。俺が悪かったんだし」
そう言ってから、さっきよりも慌てた。
何やってんだ、俺。
チクショウ、俺らしくねぇぞ。
「悪かった」
でも、この子の頭に乗せた手は簡単に下ろせなくて。
…いや、離せなかった。
手の平ごしに感じる温度が、心地よかった。
「やっぱり…」
「は?」
「いえ…」
小さくつぶやいた相手に聞き返すも、何もないと首を振られてしまった。
そして、ゆっくりと顔を上げて俺を見つめた。