ひなたの林檎
桃色の世界


 あの日はすっごく
 空が泣いてたな

 あたしも君と喧嘩して
 泣いてた…

 君からの電話もメールも
 全然なくて
 世界にあたし1人しか
 いないのかって思うぐらい
 寂しかったんだ

 雨が窓ガラスに当たる音に
 混じってコンッって音がした

 何度も何度も何度も

 ちょっといらっとして
 窓の外を見ると
 君がずぶ濡れで立ってた

 君が携帯を耳に当てた瞬間
 君だけの着信音が鳴った

 「 ………… 」

 もしもしも言わず
 電話に出ると

 「 悪かった 」

 って一言

 「 それだけ? 」

 ってちょっと冷たく言ってみた

 「 どんな言い訳したって
  お前を傷つけたことは
  変わりないだろ
  ほんと悪かった 」

 自分でもわかんないぐらい
 早くあたしは君へと走り
 君を抱きしめた

 「 …風邪ひくよ 」

 「 …お前戻ってきたから
  看病してくれんだろ? 」

 
 ねぇ、空さんも泣かないで

 あたしたち仲直りしたよ
 早く晴れてくんなきゃ
 あたしも風邪ひいちゃう

 看病できないじゃんか


.
< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop