ひなたの林檎


 冬の始まり

 少しずつ寒くなってきて
 吐く息が白くなる

 隣の君も寒そうに
 手に息を吹きかけてる

 「 寒いね 」

 「 うん。 」

 自然と会話も少なくなる

 ちょっと寂しくなって
 君の手を握ってみた

 君は少し間をあけてから
 手を握り返してくれた

 「 ありがとう 」

 ん…って答えて

 「 まだ寒い? 」

 ってあたしに聞く

 「 ちょっとね… 」

 って答えたあたしの手を
 そっとポケットに

 「 こうすりゃ温かい 」


 そんな些細な優しさに
 包まれてるあたしは
 ほんとに幸せだ

 君の優しさのおかげで
 心まで温かいよ

 白くなる息も
 桃色になっちゃうぐらい
 からだの中まで桃色だ


 君がいなきゃ
 凍えちゃうとこだった


.
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