妖怪の住む町
「会いに来い。私に会いに来い。」

「うん。」

「もし、お前が大人になって、結婚して子供ができて、年老いてお祖父さんになろうが、私の事を忘れてしまっていても、私はお前の事を忘れない。」

「……うん。」

力強く答えた。

抱きしめる腕に力を込めて。

「絶対に忘れない。
会いに来る前にお前がこの世からいなくなっても。
私だけは、お前の事を覚えてるから。」

「うん、うん。」

「だから、会いに来い。
それが何年先でも、何十年先でも。
待っているから。」

”約束だ。”

「会いに行くよ。絶対。」

ふと思い出した。

誰かが「絶対なんて言葉はない」って言ったのを。
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