妖怪の住む町
「どうした?泣いてるのか?」

「いや、泣いてないよ。」

「そう、か……」

詰まりながらも涙を堪えて目を手で隠す。

「待っててくれたんだ…」

「約束だろ?忘れるはずなんてない。」

一緒だったんだ……。

忘れてなかったんだ。

約束はずっと続いていたんだ。

「おとうさん?どうしたの?」

「いや、何でもないよ。
そろそろ行こうか。」

手を引きながら元来た道を娘と歩いてく。

「ちょっと待て。
あの、だな最後にお前の娘と話しをさせてくれ。」

妙に気後れしながら言うので変だと感じつつも了承した。

「いっておいで。」

手を離し麗華の所へと駆け寄る。

何の話しをしてるんだ?

「おとうさん。もうお話終わったよ。」

「そうか。」

もう一度手を引いて一歩前へ歩く。

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