妖怪の住む町

初恋の君へ

10年と言うものはとても長い時間だった。

100年よりも、
ずっと、ずっと長かった。

あの日の約束を私はずっと信じて待っていたんだ。

「もしかしたら私の事忘れてる?」

そう思っていた時、悠一は会いに来てくれた。

久しぶりに見た時は一瞬誰だかわからなくて。

木の上からじっと見つめてた。

でも声を聞いて

「ああ、悠一か。」

と安心もしたんだ。

悠一には新しい家族ができていて、幸せそうだった。

子供も少し悠一に似ていて。

絵に描くような“家族”。

話しをして、楽しかった。

昔に戻った気がして、しょうがなかった。

悠一に家族ができて嬉しいが少し寂しくもなった。

彼が私の中で初めて好きになった人だったから。

< 24 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop