それでも世界はまわる
五分遅れて美佳はそこに到着した。

五分間ずっと泣いていた。
美緒奈もあれ以上は何も聞かずに慰めてくれていたし、美佳自身、思い切り泣くことで感情もおさまるような気がしていた。

今日の美佳の担当は、ほうき。
下拭きの慎吾は作業できず待っていたが、遅れたことを責めたり問い詰めたりしなかった。
その態度に甘えさせてもらって、黙ったままほうきを手に取る。

木製の床を美佳が掃き、その後から慎吾が拭きながら追ってくる。

しかし、いつものような会話がない。
どちらも話せず、気まずい雰囲気だ。
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