それでも世界はまわる
そうして掃除の音楽が消えた頃、慎吾は美佳の名を呼んだ。
美佳は言われるまま被服室に入った。

被服室は本校舎二階の一番奥にあり、三年教室とはコンピュータルームを挟んで隣。

扉を閉め、慎吾と二人きりになる。

慎吾は女の子相手に話すのが本当に苦手だった。
しかし、彼はあの時のように自分から話し始めた。

あの時。

慎吾が美佳に、美佳が慎吾に勇気を与えた、あの日。

あの日から美佳はもう慎吾に心配をかけまいと誓ったはずだったのに。

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