それでも世界はまわる
照明がつき、マイクを手にした美佳の姿の慎吾がステージに立った。

改めて慎吾を見ると、教室でセーラー服など恥ずかしいと叫び散らしていたことを思い出す。

美佳はひときわ緊張して、とてつもなく心配しながら慎吾を見ていた。
自分の姿で他人が恥をかくくらいなら、よっぽど自分でしくじった方が良いと思った。

しかし今日は慎吾。美佳ではないのだ。

隣に見える校庭には、ぞくぞくと我が子の晴れ姿を見ようと保護者たちが集まっていた。

ちょうど良すぎなほどタイミングよくりおんの母と目があったので、急いで前を向く。
< 133 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop