それでも世界はまわる
「先生! 拓也君が歯が痛いそうです」

「いたたたたー」

健太郎が拓也を見て、潤に告げる。
拓也は頬を押さえているものの、台詞は棒読みだ。

潤は、花がもりもり生けてある花瓶を拓也に渡す。

「じゃあこれで冷やしときんさい」

「なにそれー」

「これは一部実話です」

みんなで笑った後の、ナレーターBの汐里の言葉は非常に興味深いものである。

そう、前に拓也は授業中に歯が痛いと先生に助けを求めたことがあった。その時はクラス全員で大笑いしたものだが、よほど印象的だったらしく今回台本に入っていた。
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