それでも世界はまわる
会場の笑いを聞きながら、物語は発展する。

「みんなが笑っている中、恋する乙女の美佳はこう思っていた」

続けて汐里が言うと、いよいよ慎吾の出番だ。
後ろの席に座っていたので、ジグザグに歩きながらセンターに出る。
先の汐里の台詞からはもう美佳の世界だ。途中で拓也の花瓶を奪って、イメージは可憐な花の少女らしい。

「私なら、源氏物語かなー?」

センターに座り込み、目を瞑って花瓶に頬を当てる。すると、妄想開始の合図が流れる。

「ほわんほわんほわわわわーん」
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