それでも世界はまわる

美佳は神楽が好きなので、その衣装に袖を通すことができるのが楽しみで仕方なかった。
こんな体験はもう二度とできないだろう。初めて身につけた時は、嬉しくて教室中を走り回ったものだ。

余談になるが、りおんの名字は神楽。
美佳は美緒奈と潤に、だから神楽の舞いが好きなのだろうとからかわれた経験がある。
偶然の一致に返す言葉もなく、黙り、そして神楽が好きなのはりおんは関係ないと主張した話。

実際神楽はもっと子供の頃から見ていたし、あの囃子を聞くとわくわくする。何時間でも夢中になれる。
特に英二父の演じる鬼が迫力満点で、美佳は一番心寄せているのだった。