それでも世界はまわる
一方、友人たちは一生懸命二人に呼びかけていた。
りおんは美佳と慎吾の手を握り、恵は今にも泣き出しそうだ。
どれだけ揺さぶっても意識は戻らず、みんなの不安が頂点に達する一瞬前、美佳がむくりと起きてきた。

「・・・いってー」

全員が安心と疑問の表情を同時に浮かべる。

女の子が、美佳が「いてえ」?

続いて慎吾も目を覚ました。

「・・・ん、うーん・・・」

いつもより色っぽい声を出した慎吾。

ひっかかりを残したみんなを差し置いて、美佳が口を開いた。

「あれ、帰ってこれた? 良かった。
 えっと・・・美佳さんは?」
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