それでも世界はまわる
  ――テイク2――

美佳は美緒奈の言葉を遮り、痛む胸を抑えながらそう叫んで、荒々しく筆箱を鞄に入れてから走って部屋を出た。

「美佳っ!」

それと同時に慎吾は、生徒会室と廊下の敷居に足をかけてしまった。

「わあっ!」

持ち前の運動神経で転がることは逃れたが、派手に音を立てて正面の壁に頭をぶつける。

「痛いー」

「ばっかじゃねぇの」

智之が笑うのを見て、慎吾はその場で地団駄を踏んだ。


   *      *      *
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