それでも世界はまわる
「トモ君が好きなのはー?」

「・・・僕は、美佳さんが好きだよ」

その瞬間、カメラのある方向から大きな音が聞こえた。
二人が振り向くと、スタンバイしていた美佳がなぜか地面に倒れており、音声のスタッフに起こしてもらっているところだった。どうやら椅子から転げ落ちたらしい。

「そんなん真顔で言わないの・・・。恥ずかしいろ!」

美佳はいたく紅潮していた。

それを見たりおんと慎吾は大笑いである。大げさに腹を抱えて、これでもかというほど声をあげて爆笑する。

「はーい、りおん君。そのシーンは後でちゃんとあるから、早とちりしないでねー」

「ごめんごめん、監督さん。だって美佳さんの反応面白いけえ」

それでも二人は笑っていた。

「もお・・・りおん君の意地悪・・・」


   *      *      *
< 199 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop