それでも世界はまわる
下を向き、無意識に口を開いていた。

「・・・りおん君は・・・」

りおんは突然のことで驚いていたが、黙ってくれていた。次の言葉を待っている風にも見えた。

「・・・りおん君は、あたしのこと・・・」

「カット、カットォ!」

慎吾もりおんも集中していたせいか、肩をびくつかせて驚いた。

「こら、そこ! 三年教室の窓! お前らだ、お前ら! 余計なガヤ入れるんじゃない!」

また背景かと、しおれながら慎吾が振り返る。
そこには本当に隠れているつもりなのか疑いたくなる堂々とした態度で、美緒奈と潤がいた。
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