それでも世界はまわる
「ええと・・・その、悪いんだけどさ、美佳ちゃん」

急に名前を呼ばれてびくっとする。
慎吾のふりして歌ってるだけなのに、今はスポットを浴びる場面ではないのに、なぜ自分? 戸惑いを隠せない。

「あの、ごめんな、申し訳ないんだけど、もうちょっと声のボリューム下げてもらえるかな? 感動が台無しというか・・・いや、なんと言うかだな・・・」

つまり、音痴だから遠慮しろということだ。

意気消沈した美佳に気分転換を促すよう、隣の美緒奈が大げさに背中を叩いて笑う。


   *      *      *
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