それでも世界はまわる
「あのね、よーく聞いてや。率直に言うよ。
 あたしと慎吾くん、体が入れ替わった」

母は当然の如く驚きを隠せない様子。
そして父にも状況を説明し――弟もいるが中学一年で説明済みだったし、まだ部活から戻っていなかった――部屋に入った。

美佳は学生鞄を床に置いて、椅子に座った。

いつも見飽きている部屋もなぜか今日は違う。
きっとそれは自分の気持ちのせいだと考え、複雑な思いのまま部屋を一通り見回してみる。
幼い頃から大事にしているぬいぐるみたちを見ると、自分が風吹美佳である実感が沸いてくる。心が落ち着く。

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