それでも世界はまわる
美佳はふとある言葉を思い出した。
遠い昔、返事をくれないりおんに渡した言葉。

両手で慎吾の頬を包んで、なんとなく、その言葉を口にした。

「自分の気持ちに正直になっていいんよ。
 お互い苦しんでても、あたしは最後まで信じとるけぇね・・・」

雫が頬を伝って美佳の手に流れる。

「ありがとう・・・」

美佳はほっとした。慎吾のその一言が無性に嬉しかった。

「ちゃんと・・・ちゃんと助けてや?」
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