それでも世界はまわる
職員室の前を通る時は、この古い木造校舎の音を立てないよう静かに、なおかつ急いで通る。

校長室、保健室、更衣室、図書室の前も同じように通るといよいよ昇降口が見えてきた。
調理室には誰もいない。昇降口の向こう側、体育館も全員下校したようである。

美佳は急いで靴を履くと、外へ勢いよく飛び出した。

一刻も早くこの場所から離れたいという気持ちを動力として走っていた。
というより、それ以外に考えはない。

しかし中学校の昇降口から自分の家に帰るためには、旧校舎と本校舎をつなぐ渡り廊下を横切らなくてはならない。

美佳は心を決めて、愛用のテディベアのタオルで涙を拭ってから、生徒会室を覗いてみた。

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