それでも世界はまわる
そこには泣いている親友と、彼女を慰める幼馴染の姿があった。

美佳は胸に何かが刺さるのを感じた。

その苦い光景から目をそらすと、三つ右側の窓から恵と英二が見えた。二人とも先ほど言い合いをした廊下に立ち尽くしている。
まだ下を向いたままだ。

しばらくは、動けなかった。

そして美佳はここには自分の居場所がないことに気付き、今度は足早に立ち去ることにした。もう走る気力もない。

渡り廊下を横切ると教職員の車が見え、そして生徒の自転車置き場がある。
美佳は徒歩通学なのでこの場所には関係がない。
今の時間はみんな下校し、自転車は智之と恵と英二のものしかないはずだった――美緒奈も徒歩通学――。
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