それでも世界はまわる
しかしながら人数が少ないことにはそれで良さがあり、美佳は今の暮らしが好きだった。

「ねえ、ミオ。宿題やった?」

「やったよー。美佳やってないん?」

「いや、やっとるけど自信ないけぇ答え合わせ」

昨夜苦労して回答を埋めたノートに指差す。

親友である美緒奈は、将来医者を目指しているだけあって成績もいい。
凡人の美佳には頭の回転がついていけないときもある。

「にわちゃは?」

潤と一緒に悩んでいるくらいがちょうどいい。
お互いちょっとずれた感覚で、人と違うニックネームにしようと意気投合し、にわちゃ、ふーと呼び合っている。
一瞬聞くと誰のことだか分からない。

「うちは分からんかった」

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