それでも世界はまわる

   *      *      *


「りおん・・・君・・・」

美佳は溢れる涙を止めることができなかった。
大粒の涙が床に落ちた時、りおんがようやくこちら三人に気付いたようだ。

ゆっくりと、近付いてくる。

美佳は目を瞑って下を向いていたが、それがよく分かった。
古い旧校舎の床は歩くとギシギシ音が鳴る。

なにより、りおんの温もりを近くに感じていたのだった。

「慎吾、なんで泣いとるん? ・・・まさかお前、美佳さんのこと・・・」

(違う、あたしが・・・あたしが、美佳・・・)
< 94 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop