天地創造
少し昔のことだが、ヨウの村から遥か遠く離れたある人里に、えるは初めて降り立った。
初めての人、会話。
そこでピイと名乗り妖精や精霊が見えると告白すると、散々な目に合った。
嘘つきと詰られ、石を投げられ、剣を持った男たちに追いかけまわされた。
意味がわからなかった。
その人里の住民がそんな行動を取ったのには、わけがある。
魔力が薄かった土地柄、妖精すら見える人間がほとんどおらず、見えるのはわずかな子供だけ。
その子供も大人になると見えなくなる。
そんな村でひどい日照りがあった。
そこへふらりと雨の妖精が見えるという男がやってきて雨を降らせると言った。
なけなしの食料を提供し尽くしたが、結局雨は降らず男は逃げた。
その年、村は相当な餓死者を出したという。
その八つ当たりの意味もあったに違いない。
だがえるには全く関係ないことだった…
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