天地創造
神が去ってから、基本的に自然界は精霊を頂点として無数の妖精がつかえていた。
彼ら独自の階級があり、上になるほど姿隠しもうまいとされ、精霊を見ることができる人間は一握りと考えられている。
「精霊が見えるのは村で一人だけなの?」
えると名乗った器が疑問に思うのは無理もない。
彼女は世界に存在するあらゆる妖精、さらには精霊ですら見ることができる。
「一人ってことはないよ。でも見えるのはほんの一握り。僕の村は風の精霊が見える人を巫女様と呼んで敬うんだ」
ちょっと残念そうにうつむいてヨウが続ける。
「僕は男だから妖精が見えるので精一杯。女の子で、もっと力の強い子はたくさんの妖精も見えるし、精霊が見える子もいるんだって」
「風の精霊だけ?」
「…ううん」
ヨウはさらに暗い顔をした。
「僕には姉ちゃんがいるんだけど、火の精霊が見える。だから隣村に行かされる」
「どうして?」
「僕の村は風の村。火は隣村なんだ。他にも水と地の村もあるけど」
「お姉さんは火の精霊が見えるから隣に行くの?」
ヨウはうん…とうなづいた。
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