天地創造
「ね、える」
ヨウはぱっと表情を変えて話しかけてきた。
「今日はどこか行くところあるの?」
彼女は首を横にふった。
「じゃうちにおいでよ」

ヨウの村人たちは親切だった。
怪しまれても仕方ないのに全く頓着せずなついたヨウ。
そんなふうに彼を育てた家族、村人。
えるは少しほっとした。
「あの、突然おじゃましてすみません」
いかにも人の良さそうなヨウの両親に頭を下げた。
「何、気にすることはない。たまにはお客人でももてなさないと退屈でしかたないからな」
わははと父親が笑えば
「私も料理のしがいがあって嬉しいわ」
と母親が微笑む。
しかも旅人が珍しいのか、代わる代わる村人たちがやって来ては肉や果物なんかを置いていく。
それを材料にしたごちそうをふるまってくれようとしたみたいだが、あまりの量に向こう3軒両隣に声をかけいつの間にやら村中の奥様総出で料理をし、テンションの上がった男たちが村の広場に大きなかがり火をたき結局お祭り騒ぎとなってしまった。
広場に次々と料理が運ばれてくるのを眺めてえるはなんだか落ち着かなかった。
こんなに歓迎されたのははじめてだった。
「ね、ヨウ。ただご飯を食べるだけでどうしてお祭りになったの」
ある意味当然の疑問だったが、聞いてもあまり意味はなかった。
「みんながえるのこと好きになったんだよ!」
その答えを予想してなかったえるはポカンと口を開けた。
「それにね、実は…」
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