出逢えてよかった
「ここ、どこ?」
無理矢理連れてこられた、ある場所。
「明星学園の寮」
「へぇ、ここが寮かぁ」
実はあたし、明星学園の寮で3年間を過ごすことになってるんだ。
「あたしの部屋、どこかなぁ」
なんて、呑気なことを言っていると、また、手が引っ張られた。
「あんたは俺と同じ部屋」
「ふーん…って、えぇぇえ?!」
「うっせぇ」
ちょ、ちょっと待って!
あたしの部屋はこいつと同じって言った?無理無理無理っ!絶対に無理!
「無理なんかじゃねぇよ。決まってることだから」
「はい?」
「だから、あんたと俺が同じ部屋なのは、あんたの入学が決まったときから決定されてたの」
何それ…。
はい、楽しみ消えたー。
よりによって、さっきまでキャーキャー騒がれていた男と相部屋だなんて…。
「露骨に嫌そうな顔すんなよ」
「だってぇ〜…、っん?!」
え?何これ何これ?
息できないんだけど!
いくら私でも分かる。
キス…されてる―。
力が入らないでいると、無理矢理こじ開けられた唇。その間を割って入ってくる生暖かい感触。
「んんっ、ふぁ…」
この声は私の?
こんな声、聞いたこともないよ…。
「…っ、はぁ」
どれぐらい交わしていただろう。ようやく離れた琉維の唇。
「あんた、そんな声出すんだ」
不敵に笑う琉維。
息が上がってる私。
この男…、最低っ!!
いきなりキスしてきて、…てか、ファーストキスだったんだけど…。
私のファーストキスを返せぇっ!