明日になったら



音に気づいた絢音が近づいてきた

「ん…んん」

咄嗟に寝たフリをする

「…榎本くん?!」


驚いているような絢音はすぐにいなくなるかと思っていたのに、
いまだに彼女の気配がすぐ傍にある

『絢音……?』


そう言って目を開けようとしたとき彼女が呟く

「ねえ……」


何かを言おうとしたままじっとする絢音はすっと立ち上がった

近くから彼女の気配が消えたかと思うと
屋上の重い扉が閉まる音がした




< 67 / 72 >

この作品をシェア

pagetop