聞いて欲しいのです。
……彼には見えていたのか、いなかったのか。
ずっと後ろにいて、彼を見つめていたモノ。
今は彼から離れ、
僕の向かいの席に座っていた。
彼の座っていた、そのままの場所に。
僕は呪われ、
彼女に付き纏われるのだろうか。
幸いなのは、僕に恋人が居ない事。
「君、名前は?」
いっその事、彼女と上手くやるという選択肢はないだろうか。
顔を上げ、僕を見つめる彼女に名前を問いながら、そんな事を考えた。