銀河の星屑
「と言うか、今は先生を呼ぶことが先だな」

「待って!」

部屋を出ようとした僕の腕を、姉――いや、水萌がつかんだ。

「な、何だよ…」

いきなりの状況に戸惑っている僕に、水萌は目を伏せた。

「――高校2年生の時のバレンタインデー…」

小さな声で、水萌が言った。

高2のバレンタインデー?

その出来事には、心当たりがあった。

「――わたしが、蓮ちゃんに告白した日」

その瞬間、僕は水萌だと思った。

高校2年生のバレンタインデーは、僕と水萌がつきあい始めた日なのだ。

大事な僕たちの記念日を忘れる訳がない。
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