銀河の星屑
黎の声にハッとなって視線を向けると、彼女は首を動かしていた。

「どうした?」

気になって声をかけると、
「ここ、隣町です。

見たような風景がいっぱいあるなあって思ったら、私が住んでる場所の隣にあったなんて」

黎がクスクスと笑っていた。

「やっぱり、世間を侮っちゃいけませんね」

楽しそうに笑っている黎に、中條は心が温かくなって行くのを感じた。

すきま風が吹いて寒かった心が温かくなる。

自分の中で黎の存在が変わって行くのを、中條は感じていた。

自分にとって彼女が“特別な存在”になるのは、そんなに時間がかからなかった。
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