銀河の星屑
彼女と自分の間を繋いでいるものがなくなってしまう。

ゼミや学校で黎と会うことはあるけれど、こうして話すことはもうないだろう。

話したとしても、簡単に済みそうな用件ばかりかも知れない。

「じゃあ、失礼します」

「気をつけて帰れよ」

黎が出て行った。

ドアが閉まったのを確認すると、中條は左手を掲げた。

キラリと薬指に光るのは、銀色の指輪だった。

――もう必要ないかも知れない。

妻と子供は別居しているんだし、離婚に展開するのも時間の問題だろう。

中條は、指輪を外した。

そして、それをゴミ箱に捨てた。
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