銀河の星屑
どうして黎は泣いているのだろう?

電話の向こうで、黎はグズグズと洟をすすっている。

「何か、あったのか?」

「――私、死にたいんです…」

手からスマートフォンを落としそうになった。

黎が“死にたい”と、言った。

「――今、どこにいるんだ?」

躰が勝手に動いていた。


急いで車でその場所へ向かうと、黎の姿を見つけた。

「佐々木!」

雨でびしょ濡れになった黎が顔をあげた。

中條はかさを差すと、黎に駆け寄った。

黎が走って歩み寄ってきたかと思ったら、そのまま中條の胸に飛び込んだ。
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