銀河の星屑
シュッシュッと、ナイフが空を切る音を立てる。

それを持つ彼の目は、もう人間じゃなかった。

頭のいかれた、猛獣のような目をしていた。

人間、狂うと猛獣になるんだな。

頭の中で、僕は冷静にそんなことを思った。

「――ッ…!」

右の二の腕に、痛みが走った。

「チッ、かすっただけか…」

荒い呼吸の中條が、痛みに顔をゆがめている僕を見つめている。

完全に、追いつめられた。

交わすのに必死で、周りを見ることを忘れていた。
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