銀河の星屑
彼は優しく微笑むと、
「背中を刺されただけで命に別状はない。

搬送先の病院で手当てを受けている。

まあ、警察に通報したくらいの体力はある。

すぐに回復することだろう」
と、言った。

「よかった…」

前田さんが無事だとわかったとたんに、僕は膝から崩れ落ちた。

「お、おい、大丈夫か?」

突然座り込んだ僕に彼は慌てた。

「大丈夫です、少し力が抜けただけです」

彼の質問に、僕は答えた。

「それよりも、彼女を――姉の方を」

「ああ、わかった」

カシャンと、水萌の手錠が外された。
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