シンデレラと魔法使い
朝。


いつものように起き、いつものように食事し、いつものように家事をしていると、父親のアンバーニに呼び止められた。


「アンヌ、後で話しがある。それが終わったらリビングに来てくれ。」


いつものような明るい笑顔ではなく、どこかかしこまった様子だった。


「分かった、もうすぐ終わるから待ってて。」


私がそういうと、アンバーニはうなずき出て行った。


いつもとは違う父親の姿が気になったため、私は急いで仕事を終わらせリビングに向かった。


「お父さん、どうしたの?話って?」


アンバーニはどこか緊張した様子だったが、私が聞くと口を開いた。


「ジュリエンヌ…お母さんが亡くなってもう13年だな…」

「えっ、うん…」


私の母、ジュリエンヌは私を生んですぐにこの世を去った。


だが、今関係あることなのだろうか?


「父さんは、今でも母さんを愛してる…アンヌ、お前もそうだろう?」


「ええ、当たり前じゃない。」


私の返事にアンバーニは少し微笑んだが、すぐに真剣な面持ちに戻った。


「そうか……実はな、父さん…結婚しようと思うんだ。」


「………え?」

いきなりの爆弾発言に、私の思考は停止した。


「え?どういう…こと?…結婚!?」


パニック状態になった私をなだめてから、アンバーニは語り始めた。


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