シンデレラと魔法使い
「ちょっと！あと二時間で来ちゃうじゃない！」


お母さんが怒鳴る。


そんなこといっても、こちとら走り回って一生懸命してるんじゃ！！と言いたいがそんな度胸のない私はとりあえず元気に返事をしておいた。


****************************


支度がある程度終わった頃、私はお母さんに呼ばれた。


「なんですか？」


恐る恐る聞いてみる。


するとお母さんは唐突に茶色のワンピースを私に突き出した。


「今日は、これを着なさい。」


「え？」


予想外の言葉に私は固まった。


服なんて、1年に一回もらえるかどうか。


「なに、驚いた顔してんの？王子様がくるんだから当たり前でしょう？アンタみたいなみすぼらしい娘が家にいるだけで恥なのにそんなぼろ雑巾みたいな服きてたらお姉ちゃんたちの結婚の妨げになるわ。」


まだ、呆然としている私にさっさと着替えて着なさいといってお母さんはお姉ちゃんたちのもとへ戻っていった。


< 40 / 80 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop