シンデレラと魔法使い
混沌

1

「はぁ…」


「どうしたんだ?ため息なんかついて。」


魔法のじゅうたんに乗り、空を駆け抜ける。


とても楽しいはずなのに家に近付くたび気が重くなる。


「家に帰りたくないな…って」


私の言葉にレオが顔をしかめる。


「なんでだよ?イケメン王子捕まえといて。」


「そうなんだけど…なんか一人だけ置いていかれてる気分。」


「意味わかんねぇ」


レオがなぜかイラついた口調でつぶやく。


「あんたがのぞんだことだろう?」


「別に望んだわけじゃ…靴もってることも言わされたようなもんだし、お母さんは私が王子と婚約ってなったら急に態度変わるし…」


だらだらと文句を言う。それをレオは静かにきいていた。
だが、しばらくしてレオがふいに私をさえぎった。


「お前さあ、なんなの?」


「え?」


いきなりの言葉に私は戸惑う。小さく家が見えてきた。


「さっきからきいてりゃ、自分は可愛そうだ。被害者なんだって他人のせいにして。」


「そんな言い方ないじゃない!だいたい、私は好きで婚約したわけじゃないの!」


思い切り反論する。


「じゃあ聞くけど、なんでガラスの靴だした?」


「靴ださなきゃいけない空気にされたから。」


不機嫌丸出しの声で言う。


「そんなの、しらきればいい話だろ?ガラスの靴はけたのはまぐれだ。自分は舞踏会にいってないって。」


レオの言葉にうっと詰まる。


「それは…」


「それは、なんだ?あのときの娘だって認めた時点でお前にも下心があったんだろう?これでやっとお母さんたちから解放される。王子のお嫁さんになれる、って。」


「そんな言い方ないでしょう!?」


私は大声でいった。
レオの言葉がぐさぐさと突き刺さる。
家の方向をみるとその存在は大きくなっていた。


「お母さんのことにしてもだ。特別扱いは嫌だって素直に言えばいいだろ。でもお前はいってない。影でぐちぐちいって、表では従ってる。なぜだ?楽だからだろ。」


レオが冷たく言い放つ。

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